レンタルサーバーpaasとは

パソコン15

paasとはクラウドサービスの一つです。アプリケーション開発に用いられることが多く見られます。また、似たような概念として、「レンタルサーバー」がありますが、こちらはネットワーク経由で共有するサーバーを利用できるサービスを指します。

サーバーに特化したクラウドサービスといった位置づけです。いずれもIT資産調達のコスト低減に一役買っています。

⇒何が違う?法人向けと個人向けでのレンタルサーバーの違いを知ろう!

paasの定義

paasとは"platfom as a service"の略称です。アプリケーション開発の実行環境として使われています。アプリケーションの実行に必要なランタイム、データベースといったミドルウェアが提供されていて、開発者はコーディングに注力できます。

クラウド上のマネージメントサービスとして提供されているケースが多いのですが、オープンソースによるサービスもあります。データ、アプリケーションをユーザが管理、ランタイム、ミドルウェア、コンテナ、オペレーティングシステム、サーバー、ストレージ、ネットワークをサービス提供者が運用しています。

また、paasを使うと、データ分析やIoT、人工知能のような機能を組み込むことも可能です。言語やリソースに制約はありますが、開発環境を素早く構築することができます。サービスとしてのプラットフォームという位置づけで考えるとよいでしょう。

プログラミング言語や開発環境に関する知識をつければ、企業の基幹システム構築にも利用できます。

GAEの紹介

paasとして、Google社が"Google App Engine"(GAE)というサービスを展開しています。サーバーを必要としないアプリケーションの実行環境が提供されています。インフラ管理はGoogle社が行っているので、運用管理の負担削減が図れます。

また、オートスケール機能が設定されているため、アプリケーションの負荷を気にする必要がなく、アクセスが集中してもスムーズな運用が可能です。2008年4月にサービス開始、当初サポートしていのはPythonのみでしたが、2021年10月現在ではJava、PHP、Goもサポートしています。

GAEは長期に渡って、安定稼働しています。アクションパズルゲームのAngry Birdやオンライン講義を行っているKhan Academy、小売のBest BuyもGAEを通じて、サービスを提供しており、ユーザ数が多い、大規模サービスにも対応しています。

小さく始めて、徐々に規模を拡大していくことを前提にする場合、事業規模に合わせて、システムの大規模な変更が不要になるのは大きなメリットです。

AWSの紹介

AWSは"Amazon Web Services"の略称です。世界最大級のECサイトを運営しているアマゾン社が提供しています。100を超えるサービスを展開、世界のトップシェアを維持しています。業種別、技術カテゴリ別にサービスを展開しているので、自社の特徴に応じたスステム環境の構築が可能です。

業種別では「広告とマーケティング」「金融サービス」「Game Tech」「メディアとエンターテイメント」の領域があります。「広告とマーケティング」では提供されているサービスを用いて、広告を配信する相手先の選定や広告の効果を定量的に分析、精度の高いマーケティングを行うこことができます。

「金融サービス」では金融業務を行う企業にサービスの差別化、新たなニーズに対応するための指針を提供します。金融業界には厳しいセキュリティ要件が求められます。業界基準に準拠したセキュリティと専門知識でパートナーシップを提供しています。

「Game Tech」の領域ではクラウド上でゲームを構築、運用していくためのサービスが充実しています。自動スケーリング機能で需要に応じた容量を確保、運用コストの削減を図っています。開発メーカーはサーバに対してではなく、使用したリソース分のコストを負担すれば済みます。

また、ワークロード管理機能により、ゲーム開発時のテストが容易に行えるようにしています。また、プレーヤーを知り、プレーヤーの満足度を維持するためのサービスを提供、イノベーションを続けることができます。「メディアとエンターテイメント」領域ではコンテンツの作成から配信まで、効率的な運用が可能になるサービスを提供しています。

コンテンツの制作、メディアサプライチェーン及びアーカイブ、放送、ストリーミング、データサイエンスと分析という5つの領域をサポートしています。

paasののメリットとデメリット

paasのメリットとして、ネットワークに接続できる端末があればすぐに利用可能、サービス利用料の負担のみなので導入費用、運用コストが抑えらえる、オプションサービスの追加、サービス変更が容易、災害やテロが起こってもデータ流出のリスクが低いといったことが挙げられます。

こうした点が評価されて、企業の基幹システムをpaasで構築する事例も出てきました。一方、デメリットとして、オンラインゆえのセキュリティ対策の不安、オフライン環境での実行ができない、サービスの提供を受けるという立場から自分のものにならない、トラブル発生時は復旧待ちになる、カスタマイズが困難といったことが挙げられます。

システムを自由に変更したい企業や厳格に保護すべき情報がある企業にはあまり向いていないサービスと言えます。

SaaS、IaaSとの違い

クラウドサービスを検討する際に、paasとともにSaaS、IaaSとの比較が出てくることがあります。paasとの違いを見ていきましょう。Saasとは"Softwere as a Service"の略称です。

ソフトウェア、アプリケーション機能のサービスをネットワーク経由で利用します。メールやコミュニケーションツール、資産管理のアプリケーションをサービスプロバイダから提供を受けます。サイボーズ社のKintoneがこれにあたります。

一方、IaaSは"Infrastructure as a Service"の略称です。CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークといったコンピュータリソースの提供を受けます。ユーザはコンピュータリソースを自由に選択して、自前のアプリケーションを運用できるようになります。

2006年にAWSからサービス提供が開始されました。自社のデータセンターのサーバー台数削減を仮想化ではなく、クラウドサービスで行うという選択肢が生まれました。

PaaS導入に際して

パソコン25

paasを導入することで得られるメリットもあればデメリットもあります。また、どのサービスを利用するかによって、当該企業が求める成果が得られるか否かも変わってくるでしょう。自社のニーズ、投入できる予算、人員の数とスキルを考慮して、どういったサービスが必要なのか、一度洗い出しをしてからサービスを選ぶとよいでしょう。